2019年12月15日に初開催したリトルもりおかサミット。レポートの後編をお届けします。後編ではそれぞれの立場で盛岡と関わる「モリオカン」のトークセッションを中心に、当日の様子を振り返ります。
在住者、出身者、赴任者、旅行者。それぞれの「盛岡」
盛岡に関わる人は、誰でも「モリオカン」。サミット前半では事務局からそんなお話をしました。とは言えひとくちにモリオカンといっても、その中身はさまざま。さんさモリオカンかもしれないし、ベアレンモリオカンかもしれない。ネイティブ冷麺モリオカンとか、ディープな酒好きモリオカンあたりはたくさんいそう。
つまり盛岡との関わり方も、その深さもそれぞれのモリオカンによって異なるわけです。
盛岡に関わる人はみんなモリオカン
そこでサミット後半では、異なるアプローチで盛岡に関わるモリオカン4人に、それぞれの立場から見た盛岡を語ってもらうトークセッションを開催しました。それぞれ、現在は東京で暮らす盛岡出身者、盛岡在住者、仕事で盛岡に暮らした赴任者、そして盛岡への旅行者です。
それではさっそく4人のモリオカンをご紹介します。
まずはまりえさん。盛岡出身で現在東京に暮らしています。趣味はランニング。東京で盛岡をキーワードにしたランニング団体「MoriーRun Tokyo」を作り、活動しています。2019年10月に盛岡市で初開催された盛岡シティマラソンに、モリランからも何人か参加したそうです。
「MoriーRun Tokyo」のまりえさん(右から2人目)
次のモリオカンはゆうさん。盛岡出身で大学進学を機にいちど離れたものの、現在は大学をお休みして盛岡で暮らしています。盛岡に関する記事を発信するウェブマガジン「LITERS」で文章を書いたり、「盛岡という星で」関連のプロジェクトに参加しています。
「LITERS」で活動しているゆうさん(中央)
そして3人目は、リトルもりおか事務局でもあるまりこさん。東京でさんさ踊りを練習・披露している「赤坂さんさ」のメンバーです。かつて働いていた会社の転勤で、盛岡に4年間暮らしていました。
「赤坂さんさ」のまりこさん(左から2人目)
最後は前編でスペシャルトークを披露してくださった旅のエキスパート雅人さん。盛岡を旅行で訪れた経験があります。わんこそばの記録は98杯だそうです。
雅人さん。岩手の温泉もお好きだそうです(左)
4人にまず質問したのは、盛岡と関わる活動を始めたきっかけや、具体的な活動内容について。
岩手県外出身のまりこさんは前職で盛岡に赴任した際にさんさ踊りを知り、その魅力にとりつかれます。しかし盛岡勤務中は踊る機会がなく、岩手を離れたあと東京でさんさ踊りができる「赤坂さんさ」を知り加入。盛岡で行われるさんさのパレード前は週に2回練習し、オフシーズンは東京で行われる盛岡や岩手、東北関連のイベントにも参加しているとか。
雅人さんが盛岡を知ったのは、大学時代に内閣府の国際交流事業に参加したときのこと。その事業に岩手出身者がいて、一緒にさんさ踊りを踊ったそうです。それ以来、実際に岩手を訪れるようになりました。世界一周学校の活動で活用している「めっちゃいいキャンピングカー」は盛岡で購入したそうです。
トークセッションする4人のモリオカン
ゆうさんは盛岡市の「盛岡という星で」プロジェクト関連のイベントがきっかけで、盛岡というまちの魅力を再発見。プロジェクトの運営側からの誘いもあり、「LITERS」での文章執筆をはじめ盛岡関連の活動に携わるようになりました。
まりえさんは普段東京で暮らす中で「自分は盛岡が好きなのに、何も盛岡に貢献できることをやっていないというモヤモヤがあった」といいます。葛藤を抱えながら過ごしていたところ、やはり「盛岡という星で」に参加し、盛岡のため頑張る人たちに感化されます。
そこで出会った人たちは「盛岡と自分が好きなものを掛け合わせて活動している」と気付き、まりえさん自身がハマっていたランニングと盛岡を掛け合わせた活動をスタート。もりおかシティマラソンの開催が控えていたことも、前向きな活動理由になったとか。
会場もモリオカントークに夢中
次にそれぞれの活動のやりがいについてうかがいました。
モリランの参加者は、半分くらいが盛岡出身者や暮らしたことがある人たち。しかし残りの半分ほどは、盛岡に行ったことがない純粋なランニング好きや、盛岡シティマラソン参加に向けて盛岡の情報を仕入れたいという人たちだったそうです。
参加の動機や背景が異なるメンバー同士がそれぞれつながり、交流している様子を見て、まりえさんは「こういう場を作ってよかった」と感じたそう。
ゆうさんが「LITERS」で書いている文章は、主に盛岡での日常の話題。「自分が書いた文章は、誰かのためというよりも、自分のためになっている部分がけっこう大きい」と語ります。
しかし、等身大の盛岡暮らしをつづった文章に、離れた土地に暮らす人から反響や感想が返ってくることがある。自分が書いた記事が誰かに伝わる。盛岡を離れて暮らす人とも、記事を通じてつながり、コミュニケーションができる。そんなところに嬉しさや喜びがあるようです。
世界中でさまざまな人やコミュニティーと出会う雅人さんにとっての喜びは、「僕を通して知ってもらうこと」。今回雅人さんにリトルもりおかサミットに参加していただいたことも、かつて雅人さんと関わった誰かが、新たに盛岡を知るきっかけになるかもしれません。「旅をすることで自分も楽しいし、(自分を通じて)誰かがそこに行くことになったら、すごくいいなと思います」。
活動のやりがいについて語る雅人さん
さんさ踊りの魅力について「皆が一緒になって、まとまって踊ることがすごく楽しい」と説明するまりこさん。「赤坂さんさ」の活動を通じて東京にいながら岩手や盛岡を想い、心を寄せることができるのも大きな魅力。さんさ踊りに熱を入れる中で盛岡への思いが強まり、とうとうUターンしてしまった人もいるとか。
一緒にさんさ踊りをすることで「仲間」ができ、盛岡に関わる人とのつながりができる。東京の若いモリオカンが「赤坂さんさ」に引きつけられるゆえんかもしれません。
トークセッションに登壇したモリオカンの共通点は、自分の「やりたい」に正直なことでしょうか。ランニングも、盛岡の日常を記事にすることも、さんさ踊りも、本人たちが好きだからやっている。そして、無理のない範囲で楽しみながらやっている。
活動を通じて「やりたい」が同じ人や、盛岡ゆかりの人たちとのつながりができ、新たな仲間ができる。活動に感想や反響があったりする。それが嬉しいから、喜びになるから、また次の活動につながっていく。「正解ではなく挑戦を」という雅人さんのメッセージにもつながります。
そして何より、盛岡が好きなんだということが、シンプルに伝わってきました。まりえさんは活動の動機として、「盛岡に育てられたという思いがある」と語っていました。ネイティブに限らず、人生のどこか一時期で盛岡に暮らしたモリオカンは、同じ気持ちを抱いている人が多いような気がします。
大都会の真ん中で、盛岡のローカルトークに花が咲く
トークセッションに続いてフリーの交流タイムへ。続々と運ばれてきた料理を楽しみつつ、立食形式でモリオカン同士が交流しました。
初めて会った人同士も、「小学生(中学生・高校生……)以来じゃない!?」と思わぬ再会を遂げた人同士も、賑やかに盛り上がりました。初対面だけど「あれ、出身同じ地域ですよね!?」という人たちも。
大都会東京のど真ん中で、盛岡のごくごくローカルな地名や学校、お店や人名の話ができるのは、なんとも不思議な光景。でも、東京で盛岡の話をするのはやっぱり楽しい。初対面の人でも「あのお店(人、学校……)知ってますか?」と共通の話題を持てますから。普段の東京生活では盛岡を語る機会は少ないだけに、ついつい熱くなったモリオカンが多かったようです。
会場の東北酒場トレジオンポートさんによる、岩手や盛岡の食材を活用した料理も最高。白金豚に盛岡りんご。個人的に感動したのは、冷麺を食べられたこと。なんと各自で麺や具材を盛り付ける形式でした。とても美味しかった。
冷麺も食べることができました
岩手・白金豚のバラ焼き!メニュー名はリトルもりおかの形!
盛岡りんごも!
ふと気付くと会場には、さんさ踊りのメロディーが流れていました。盛岡生活で耳になじんだ太鼓と笛の音が聞こえる。しかも録音ではない。なんと、参加者によるゲリラのさんさ踊りが始まりました!
サミットには赤坂さんさと、もうひとつのさんさ踊り団体「大江戸さんさ」のメンバーも参加していました。いや、とはいえ生のさんさ踊りが見られるとは。テンション上がりました。
終わってしまうのが惜しいくらいの熱い盛り上がりをみせたリトルもりおかサミット。参加者の方々がもし何かひとつでも、新しい盛岡を発見することができたなら、大成功だと思います。
締めの挨拶で、事務局のやすしさんは「みんながやりたいことをリトルもりおかに持ち込んで、それまで興味がなかった人も含めてみんなでワクワクするような。そんな温かい場にできればいい」と呼びかけました。
締めの挨拶。ワクワクすることをやりましょう!
首都圏の盛岡コミュニティーとしてゆるくつながりながら、自分が関心のあるものや「やりたい」と感じるものをどんどん持ち込み、ワクワクすることを実現していきましょう!
東京は盛岡にできる。東京にそれぞれの「リトルもりおか」を。
東京は盛岡にすることができる。今回のサミットを終え、そんなことを思いました。より厳密に表現するなら、「東京に盛岡らしい場を作ることができる」。2019年12月15日の夜。東京のど真ん中・赤坂に、確かに「盛岡」があった。
モリオカンが集まれば、東京を盛岡にできる。東京にいながら、盛岡を作ることができる。東京で、盛岡を楽しむことができる。東京に小さな盛岡が生まれる。まさに「リトルもりおか」。
もしどうしても「リアルもりおか」が恋しくてたまらなくなったら、そのときは上野駅から東北新幹線に飛び乗ればいい。石川啄木が生きた時代と違って、現代の私たちはすぐに盛岡を訪れることができますから。古里のなまりが懐かしくなったら、2時間半で東京から盛岡に行けるのが2020年です。
とはいえ移動にはお金もかかるし、日程調整だって大変です。
だから、もし首都圏で暮らしていて盛岡が恋しくなったら、またこうしてモリオカン同士で集まりませんか。大がかりなイベントを仕掛ける必要はありません。「暇なひとたちで週末にお茶しようよ」とか、「来週トレジオンに飲みに行こうよ」くらいのゆるい感じでやりましょう。なんかいい感じで。
もちろん、何か企画するのもありです。「これをやりたい!」というアイディアを具体化するうえで迷うことがあれば、事務局までお気軽にご相談ください。
第1回リトルもりおかサミット、レポートの後編をお読みいただきありがとうございました。2020年はわんこそばを食べるイベントをする予定です(詳細決まり次第告知します!)。でも、その先はまだ何も決まっていません。
だから、サミットに参加したモリオカンの方々、そしてこの記事を読んでいるモリオカンな方々。ワクワクすることを一緒に考えて、ゆるく楽しく実現していきましょう!
写真:@YUBOPHOTO
文章:シュン
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