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いろんな人に盛岡を知ってもらうきっかけ作りがしたい/トレジオンポート店長・橋本和弥さんインタビュー

モリオカンのみなさんこんにちは。大成功に終わった第5回リトルもりおかmeet-up!を締めくくりとして前年度の活動を終えて以来、リトルもりおかはしばらくSNSの発信を中心に活動していました。しかし、これからは当サイトでもどんどん記事更新を再開し、イベント開催なども増やしていくつもりです。

その第一弾として、東京・赤坂の東北cafe&diningトレジオンポートで8月27日から9月3日まで、リトルもりおかのInstagramを担当するカメラマン・小山田祐介さんの写真展「盛岡を想う写真展」を行います。トレジオンポートは東北各地の食材やお酒などを提供する、首都圏の東北関係者には有名なお店です。コロナ禍になる以前は、リトルもりおかもトレジオンポートでイベントを開催させてもらいました

写真展に先駆けて、会場となるトレジオンポートの店長・橋本和弥さんにインタビューを行いました。実は橋本さんは盛岡のご出身で、トレジオンの盛岡の店舗でも働いていた経験があります。トレジオンに入社するまでの経緯や盛岡愛、トレジオンポートから仕掛けていきたいことなど盛りだくさんのインタビューをお届けします。

トレジオンのロゴマーク
東北cafe&diningトレジオンポート


 

久しぶりの帰省で盛岡のよさを実感し、Uターンを決意

――橋本さんは盛岡のご出身なんですよね。

はい。高校は盛岡工業高校です。当時はバンドをやっていて、盛岡工業高校でそういう活動が活発だったのが高校を選んだ理由です。高校でいろいろやっていたんですが諸事情があり、1年生の秋に高校を辞めて働き始めました。その後紆余曲折を経て16歳で上京し、仕事を転々としていました。音楽関係の仕事をしたり、制作会社で働いたり。そういう生活を10年ちょっと続けていき、年を重ねるごとに段々と落ち着いていった感じです。

――トレジオンに入社されたのは2019年と聞いています。

その前に7年くらい、代々木にあるクラフトビールの会社で働いていたんです。7年も働いていると「自分で何かしたい」という気持ちが芽生えてきて、違う道を探していたところでした。働いていたビール会社は地方のビール醸造所とコラボレーションする機会の多い会社だったので、「日本各地にパワーのあるコミュニティやお店があるんだな」と仕事を通じて実感する機会が何度もありました。雑誌の地方特集などで取り上げられるようなところですね。「自分もこんな風にやってみたいな」と思っていたんですが、どこで何をすればいいかは自分でもわかっていなくて。いくつか素敵な土地は頭にあったんですが、結局「自分のルーツとなっている土地じゃないとだめだな」と思い、ずっと帰っていなかった盛岡を訪れました。その後、春夏秋冬、それぞれのシーズンで1回ずつ合計4回帰ってみました。冬に訪れたときにUターンを決意して、そのタイミングでトレジオンに入社、盛岡の店舗に配属され、異動などを経て現在に至ります。
 


――久しぶりに帰ってみて、盛岡はどうでしたか?

すごくよかったです!子どものころに見ていた世界って、やっぱりすごく狭いじゃないですか。大人になると見るものが変わって、改めて見た盛岡の街はとても魅力的でした。特に好きなのが中津川の中の橋付近の景観です。夕方とかすごくきれいでしたし、あの辺りはすごくエモいなと思っていて。子どものころは「ただの道」と思っていましたが、古い建物やお城、広い土地があって空も高くて、「めっちゃいいな」と思っていました。

盛岡は人もいいですね。盛岡で暮らすのは久々なので知り合いも少なかったんですが、帰省後は懐かしい先輩と再会して嬉しかったです。飲食の場で出会う人たちもみんないい人でしたし。

何より、盛岡が自分の地元であることがすごく嬉しかったですね。それまではよその土地に行って、自分以外の人たちがやっていることを見ていたので、少し羨ましい気持ちもあったんです。盛岡で暮らし始めて、「盛岡にもこんなにいい場所やいい人がいる」と実感できたことが嬉しかったんです。

――トレジオン入社後、実際に働いてみての感想を教えてください。

すごく楽しかったです。もともと自分で飲食店をやってみたいなと思っていたんですが、盛岡の店舗でも現在店長をしている東京の店舗でも、自分のお店を持ってやってみたいと思っていたことができています。

それに、社長のことも好きです。僕が入社したころ、会社はちょうど変革の時期に差し掛かっていました。どんどん店舗を拡大して、社員も増やして。そのタイミングで入社したところ、直後にコロナ禍が始まりました。元々は「いずれ自分のお店を」と思っていたものの、会社が大変な時期に面談で社長に「一緒にやれるか?」と聞かれたとき「やります!」とすぐに応じましたね。

――社長の熱さに応えたんですね。

そうです。それに「お店を持ちたい」と思っていたものの、いま振り返ると見通しは甘かったです。仮に自分でお店を出しても、2ヶ月くらいで潰れていたんじゃないかな(笑)社長との面談で「頑張ろうかな」と思って、そこから店舗を任せてもらえるようになったりもしました。
  

 

コロナ禍の店舗運営は「やるしかない」という気持ちだった

――コロナ禍の時期は、基本的に盛岡の店舗で働いていたんですか?

そうですね。2019年の12月に入社して、実は最初は仙台に行ったんです。盛岡勤務の条件で採用されたはずなのに、「来れるか?」と言われて入社後すぐに仙台に(笑)トレジオンは仙台のエスパルにも店舗があるんですが、僕が入社したのはその開店準備をしている時期でした。お店の内装などを自分たちで整えていて、最初はその手伝いをしました。そのころはまだ社員も多くなかったので、会社の主要な社員が新店舗立ち上げのために集結して、解散して、次の新店舗立ち上げのためまた集結して、を繰り返していたんです。入社してすぐに会社の主要メンバーと一緒に仕事ができたので、そういう意味ではよかったです。ノウハウも身につきましたし、先輩社員の人柄もわかりました。社長自らいろいろやる人なんだということもそこでわかりました。正式に盛岡に配属されたのは、入社から約3ヶ月後です。

――時系列的には、そのすぐ後にコロナ禍が始まりましたよね。盛岡の飲食店もかなりお客さんが減ったと聞いています。
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かなり減りましたね。最初のころ、岩手は感染者がしばらく出ていなかったじゃないですか。(2022年夏の)現在はまた状況が違いますが、当時は出歩かない人は多かったと思います。盛岡の飲食店はどこも悲鳴を上げていました。

――コロナ禍という非常事態でのスタートになり、不安などはありませんでしたか。

不安というより、「やるしかない」という気持ちでした。僕が働いていたのは木伏緑地という飲食店が集まっている場所で、商業施設のように「集まっている飲食店みんなで戦う」という雰囲気でした。北上川沿いで開放感のある場所ですし、街の人たちだってコロナが無ければ飲みに出たいわけですから、「いかに安全対策をしながら、お客さんに楽しんでいただくか」には気を遣いました。できるだけお店を閉めたくなかったんですが、人出には毎日一喜一憂していました。コロナの感染者が出ている時期で雨が降っていると、お客さんの入り的には厳しい日もありました。

1年半くらい盛岡で働くなかで失敗も経験して、自分の得意なことや苦手なことが見えてきました。管理する側よりも、ある程度自由な環境でやるほうが結果が出やすいと気付いたんです。

2021年の秋、コロナ禍のためずっと閉めていた東京のトレジオンポートを再開することになりました。前職がビールを提供する会社だったことや、10年以上東京に暮らしていて知り合いも多かったことから僕に声がかかり、9月に異動しました。それから1ヶ月くらいかけてお店の準備をして10月ごろにお店を再開しました。

――再開直後にお邪魔したとき、お店の内装や席の配置が大きく変わっていて驚きました。

以前はたくさんのお客さんを収容できるだけの席数がありました。しかしその席配置だとコロナ禍での営業は難しかったため、ソーシャルディスタンスを確保できるよう席数を減らしてゆったりした空間に変わったんです。僕が赴任したときにはもう現在の形になっていたので、「席の配置を変えるなら内装も変えよう」と社長が考えたんだと思います。
 

トレジオンポートの内装


――盛岡での勤務も経験しておられますが、やっぱり東京のお店は盛岡とは違いますか?

全然違います。お客さんの層も違いますね。盛岡のお店のお客さんはやっぱり地元の方々が多かったので、「地域に根ざすこと」を目指していました。東京のトレジオンは逆で、東京の人たちに東北を伝えるハブ的な役割があります。それと同時に、ランチタイムには赤坂の街で働く人たちのお腹を満たさなければいけません。このお店にはいろんな役割があるんです。

街の規模が理由の違いもあります。地方都市では飲食店の数もある程度決まっていますが、東京ではお客さんの側がたくさんの飲食店から選べる状況があります。同じ価格帯でとてもいいことをやっているお店が多くあるなかで戦わなければならないので、東京では戦い方が変わってきますね。
 

東北の魅力を多くの人に伝えてファンになってもらう

――トレジオンポートではイベントもたくさん開催されていますよね。すべて自社で企画しているんでしょうか?

トレジオン企画のものももちろんありますが、外部からの持ち込みのイベントもあります。弊社にはPR事業部という部署があって、その担当者が東北各地の自治体さんや地場企業、団体等と折衝しています。その結果としてお店を会場イベントを開催することもあります。月に一度ホヤを食べるイベントをやっているんですが、それは社員の発案で生まれた企画ですね。

――橋本さんが店舗を運営するうえで、心がけていることを教えてください。

会社の根本にあるのは、「東北の魅力を多くの人に伝えてファンになってもらって、東北を日本一魅力的な地域にする」という目標です。僕もこれはその通りだなと思っています。広く多くの人に伝えたかったら、いっぱいの人に来てもらわないといけない。でもその人たちに満足してもらうためには、店の側も調査や準備が必要です。そうして活動していくなかで地域の課題や自分たちの側の課題が見えてきます。全部つながっているなと思うんですが、お店でやれることには限りがある。だからとにかく、「自信を持っていいものを出して、お客さんに喜んでもらう。そして来店していただいた時間をいい時間にする」ことを一番心がけています。
 


――東北のいい食材や飲み物を提供して、喜んでもらうということですね。

そうです。たとえばお店で出しているクラフトビールは、可能な限り僕が現地に足を運んで実際に飲んだうえで提供しています。

――トレジオンポートとして、いま推しているメニューなどはあったりするんでしょうか。

お酒でしたら、樽代わりのクラフトビールと東北の地酒には力を入れています。僕が盛岡出身なので、赤武や菊の司など盛岡のお酒もよく出しています。フードも三陸産のカキやホタテなど岩手の食材も出しています。飲食店なので季節ごとにメニューの入れ替えはありますが、岩手の食材やお酒には今後も力を入れていきたいです。

――橋本さんは東北各地を訪れていると思います。そのなかで、盛岡独自の魅力はどんなところだと感じますか?

抽象的になっちゃうんですが、いい意味でノスタルジックさがあるところです。盛岡は古い建物が残っていますし、歴史がある街ですよね。城下町の雰囲気や、紺屋町や鉈屋町のように昔の街並みが残っていますし。それと同時に、木伏緑地のように新しい街並みも生まれているところがいいなと思います。

もうひとつ、レベルの高い個人商店が多いことも魅力だと思います。飲食店やコーヒー店、書店などパワーのある小さなお店があって、お店ごとのコミュニティがあるのがすごくいいなと思います。なぜかというと、何かひとつでも自分が気になるコミュニティがあれば、すぐそのなかに入っていけると思うからです。ほかにもアートも盛んですし、ビールやワインのお店もあるし、少し車を走らせれば自然もある。いろんな受け皿があるのが盛岡のよさですね。
 

 

8月27日から、トレジオンポートで「盛岡を想う写真展」を開催!

――8月27日から9月3日まで、リトルもりおかのInstagramを担当しているカメラマン・小山田祐介さんの写真展「盛岡を想う写真展」をトレジオンポートで開催します。写真展に期待することを教えてもらえますか。

僕はリトルもりおかさんがウェブやSNSで発信している写真がすごく好きです。クオリティも高いし、盛岡の街の様々な側面を切り取っていますし。その写真がお店に展示されて実際に目にできるようになったら、これまでとは違った形で盛岡の街の魅力を伝えられると思いますし、お客さんの側もこれまでとは違う興味がわくかもしれません。リトルもりおかさんの写真にはそれだけの力があると思っているので、たくさんのお客さんに写真を見てもらって、盛岡に興味を持ってもらいたいですね。
 


――カメラマンの小山田さんと橋本さんは、以前からお付き合いがあると聞いています。彼にも一言いただけますか。

そうなんです、彼とは意外と付き合いがあって(笑)小山田君がリトルもりおかで発信している写真は、普段彼が仕事で撮影している音楽ライブなどの写真とは、また違った魅力があって好きです。これからも応援しています。

――最後に、まだトレジオンポートに来たことがない盛岡ゆかりの方や、コロナ禍で足が遠のいている方向けにメッセージをお願いします。

このお店には東北のいろんなよいものがありますが、僕自身が盛岡出身なため、盛岡の食材やお酒がトレジオンのほかの店舗よりあります。懐かしい盛岡のお酒との再会があるかもしれませんし、盛岡でない土地だからこそわかる盛岡のよさにも出会えると思います。そうしたことをぜひ楽しみにしていただければと思います。リトルもりおかさんともコラボレーションして、いろんな人に盛岡を知ってもらうきっかけ作りができたらいいですね。

――お話ありがとうございました!写真展もよろしくお願いします!


聞き手:シュン

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