みなさまこんにちは!
盛岡市内のテイクアウトやデリバリー対応可能な飲食店情報をお届けするInstagramアカウント「もりでり」(morideli_littlemorioka)の開設から2か月ほど。おかげさまで掲載店も10店舗を超えました。盛岡での飲食ライフ充実のため、引き続きぜひご活用ください!
さて今回は、もりでりの誕生秘話をお届けします。もりでり名付け親の千葉真琴さん=盛岡出身、立教大4年=と、プロデュースした丹野渉さん=岩手大大学院修了=に、もりでりが生まれた背景についてお話をうかがいました。
どのようなきっかけでスタートしたのか、運用にあたっての工夫、岩手や盛岡の飲食店への思い、コロナ禍の現状に思うこと……など盛りだくさんでお届けします。(※取材はオンラインで行いました)
「東京から盛岡を盛り上げたい」きっかけは大学生からのDM
――もりでりが生まれたそもそもの発端は、千葉さんがリトルもりおかのInstagramにDMを送ったことだったと聞いています。DMを送ったきっかけを教えてもらえますか。
千葉 地方創生とか地域おこしに興味を持ち始めたんですが、どこの地域でもいいわけじゃなくて、やっぱり出身地である岩手や盛岡を盛り上げていくために何かしたいなと思いました。でもそもそもそういう分野への知識がなかったので、何をすればいいのかわからなくて。
元々、盛岡という星でのInstagramのアカウントをフォローしていて、関連するアカウントをたどるうちにリトルもりおかのアカウントを見つけました。プロフィール欄に「都内在住の20~30代が運営している」と書いてあったので、「自分も都内在住だし、都内から盛岡を盛り上げられる方法を教えてもらえるんじゃないか」と思いDMしました。何かがしたかったというのが一番で、とりあえずDMして、何か話を聞ければいいかなーというくらいでした。
――「何かしたかった」という思いはどこから来ていたんでしょうか。
千葉 そうですね……。コロナで岩手に帰りにくくなったじゃないですか。それで改めて、「自分って岩手が好きなんだな」と気付いたんですよ。何か大きなきっかけがあったわけではないんですけど、「岩手のために何かしたい」と衝動的に、漠然とだけど思ったんです。思い立ったらすぐ行動、みたいな感じで(2021年4月下旬に)DMを送りました。
――コロナ禍が始まって以降、丹野さんは盛岡の飲食への懸念があったと聞いています。
丹野 コロナ禍で、盛岡の飲食店の人たちが困ってそうだなとは前々から思っていて。「何かできたらいいな」とは考えていたんだよね。東京はデリバリーやテイクアウトの取り組みが進んでいるけど、盛岡の人たちにはそういう文化はあまり浸透していないだろうなと思っていました。
飲食店の方々もテイクアウトやデリバリーにシフトしつつあるんだろうけど、恐らく発信は個々にやっているんじゃないかと想像していて。いま(取材は2021年7月末)は盛岡には緊急事態宣言が発令されているわけではないけど、感染リスクはやっぱりあるし、外食しようという意識は下がっているだろうなと。
今後、仮に変異型のウイルスが盛岡で広がったりした場合、飲食店は時短営業や休業を余儀なくされるだろうけど、そのときに「盛岡の飲食店の人たちは、情報発信をできる状況なのかな?」と。もし適切な情報発信ができない状況だった場合、さらにダメージが大きくなりかねないと想定していて。
もしデリバリーやテイクアウト主体で営業せざるをえなくなった場合、その情報が盛岡の人たちに正しく認知されているのかなというと、ちょっと微妙かもしれないなと。
群馬県の館林市では「まちめしプロジェクト」という取り組みがあって、SNSなどを通じて飲食店のデリバリーやテイクアウトの情報を発信しています。これは盛岡でも参考にできるんじゃないかと思っていました。 実は盛岡にも民間のデリバリーサービスが展開しているんだけど、盛岡市民に馴染みがある老舗のテイクアウト情報は載っていなかったりします。そういう老舗の飲食店も含めてテイクアウトやデリバリー情報を発信できればいいなと考えていました。
――そうした元からの課題意識と、千葉さんのDMがどう結びついたんでしょうか。
丹野 千葉さんからDMをもらって、リトルもりおかのInstagramを担当している小山田君から「(千葉さんと)話してもらえませんか」と言われて、ほかのメンバーも交えてオンラインで千葉さんと話すうちに「この子は飲食に興味があるんだ」とわかりました。そこでもりでりの初期構想を説明したところ、賛同してもらったので一緒にやることになった感じです。
千葉 そうですね。元々、父方の祖父母が盛岡市のみたけで「みたけ飯店」という中華料理店をやっていて、飲食への興味はそこから来ています。そのお店は東日本大震災のときにお皿などの備品がほとんど使えなくなってしまい、結局閉店することになってしまいました。
震災があったとき、父の仕事の関係で私は海外に住んでいました。なので、私は震災を直接経験していなくて、そしてお祖父ちゃんのお店で最後にご飯を食べられないままお店が閉店しちゃったんです。震災のときにお祖父ちゃんお祖母ちゃんのために何もできなかったという思いもあり、何か飲食で盛岡を盛り上げられないかと思い、もりでりに関わらせてもらうことになりました。
丹野 千葉さんからは、盛岡市の大通や川徳の周辺をもっと活性化させられないか、という課題意識も聞いた覚えがあります。
千葉 盛岡は高校生や中学生が遊ぶ場所や、ご飯を食べに行く場所が限られているなと思っています。イオンに遊びに行くにしてもバスに乗らないといけないですし……。毎回同じお店に行っていると、やっぱり飽きてしまうじゃないですか。たとえば川徳周辺がもっと盛り上がれば、もっと若者が楽しめるような場所になると思います。両親からは、大通も昔はもっといろんなお店があって楽しい場所だったと聞いたことがあります。だから大通や川徳周辺をもっと盛り上げていけないかな、とはずっと思っていました。
――そういう元々の問題意識も、もりでりにマッチしたんですね。丹野さん、もりでりをInstagramで運用するのはどのような流れで決まったんでしょう?
丹野 2021年の6月中にはスタートしようとまず決めていました。食事を画像で見せたいという狙いがあって、それにはInstagramがちょうどよかったのと、Instagramのメイン利用者層は若い世代が多いのが理由です。盛岡は若者が中高年の家族と一緒に暮らしている家庭も多いので、まずは若者にアプローチして、そこから段階的に上の年代にも情報を届けられればいいかなと考えました。
「このお店はテイクアウトをやっている」と認識してもらうことが目標
――もりでりを運用するうえで意識していることはありますか。
丹野 誰かからお金をもらってやっている活動じゃないので、まずは運用している僕らが無理をしないこと。あとは掲載する写真も、お店からいただいたものを最大限活用してやることです。本当だったらプロの方に写真を撮っていただきたいところだけど、自分たちに無理のない範囲でやることが大事かなと。東京からできる範囲で盛岡の飲食店を応援するのが目的です。
目標としては、「盛岡のこのお店ってデリバリーやテイクアウトをやってるんだ」と知ってもらうことが大事だと思っています。そうすればデリバリーやテイクアウト需要のアップにもつながると思います。あとは「コロナ禍が落ち着いたら東京から盛岡に行って、そのお店で食べてみよう」でもいいし、何らかの形でお店を認識してもらうことに貢献できればいいなと。
盛岡市民のなかでも、お店の名前だけは知っていても実際に行ったことがなかったり、そのお店がテイクアウトをやっていることを知らなかったりする人は多いと思っています。僕自身は、陸前高田市の出身で学生時代を盛岡で過ごしました。モンタン(盛岡市内丸の老舗洋食屋さん)が美味しいという評判は聞いていても、学生時代は実際に食べに行ったことはありませんでした。当時はベルでハンバーグを食べたり、福田パンを食べたり、じゃじゃ麺を食べたりすることが多くて(笑)
そんな風に、盛岡にゆかりはあっても、実は有名な飲食店を知らなかったり、行ったことがなかったりする人は意外と多いんじゃないかと思うので、もりでりを通じてPRできればいいんじゃないかと。
千葉 桜山神社のあたりは素敵な喫茶店や飲食店が多いとは聞くんですけど、盛岡駅からはちょっと遠いじゃないですか。高校生や大学生だと、桜山神社周辺まであまり行かない人もけっこういると思います。大通沿いにチェーンのカフェもあるので、そこで済ませちゃうことも多いんです。実際私も、有名なお店と知らないまま「モンタン」に行ったことがあります。あとで親から有名なお店なんだと聞いてびっくりしました。盛岡に暮らしたことがある人でも、意外と知らないお店は多いと思います。
丹野 僕は学生時代にじゃじゃ麺の白龍(パイロン)でアルバイトをしていたから、盛岡にはお世話になった飲食店の方がたくさんいます。(緊急事態宣言発令前の2021年)4月に盛岡を訪れたとき、閉店してしまったお店の多さにけっこうショックを受けました。これから先さらに閉店するお店が増えるかもしれないと考えると、そうなる前に何か役に立てるようなことがあればやりたい、というのがもりでりの活動の大きな動機です。
千葉 コロナ禍が始まってしばらく経った後に久しぶりに盛岡に帰省したとき、大通が以前より閑散としている印象を受けました。「寂しいな」と感じます。高校生のころに通っていた思い出のあるお店や、当時「行ってみたい」と思っていたお店が閉店していたり。肴町もいい感じのアーケードがあるのに、歩いているのはご高齢の方ばかりだったり。
もっと若者が楽しめるような工夫ができれば、盛岡が魅力的な場所になるのは確信しているんです。そこで何かしたい気持ちもありますし、でもまだ学生なので何もできないもどかしさもありますし……。そういう部分を、もりでりの活動に少しでも発揮していけたらいいなと思います。
丹野 動機についてもう少し話すと、東日本大震災のとき、どちらかと言えば僕は何もできなかった側の人間です。だからコロナ禍を言い訳にするのが嫌で、「盛岡のためにできることがあるなら、できる限りやってみよう」という思いがあったのかもしれません。
様々な意味が込められた「もりでり」の名前
――おふたりとも、とても実感のこもったお話をありがとうございます。もりでりの話題に戻りますが、名前の由来はあるんでしょうか?
千葉 「もりでり」は私が命名させてもらいました。名前には「盛岡」、「デリシャス」、「デリバリー」、「盛り上げる」などの意味を込めており、「盛岡のデリシャスなご飯をデリバリーやテイクアウトで盛り上げていきたい」という願いを込めています。
丹野 リトルもりおかでいつもお世話になっているデザイナーの金原さんに名前のコンセプトを伝えて、テイクアウト用の袋やエプロンの形をイメージしたデザインのロゴを作ってもらいました。ウサギもモチーフになっているようです。
――かわいいロゴですよね。そういえば、あのロゴのキャラクターに名前はあるんでしょうか。
丹野 名前はないね(笑)
千葉 名前ないですねー(笑)
――わかりました(笑)画像の投稿はふたりで分担しているんですか?
丹野 もりでりで投稿する画像の編集は僕と千葉さんがメインでやりつつ、リトルもりおかのメンバーの上路さんにも手伝ってもらっています。ストーリーは千葉さんの担当です。
千葉 ECサイトのみで展開しているアパレルの会社で、PRアシスタントとしてアルバイトをしています。その会社のInstagramの運用などもしていたので、そこで得た経験や知識を生かして、もりでりのストーリーを更新しています。
丹野 これは本当に助かっています。僕は正直、最初はそこまで見せ方は気にしていませんでした。千葉さんの話を聞くなかで、画像の統一感なども大事なんだとわかりました。とりあえず画像挙げておけばいいや、ではだめなんだと反省しましたね。逆に言えば、異なる意見や観点を持った人がいるのがリトルもりおかの強みなのかなと改めて感じました。
それぞれのお店の投稿を終盤の画像まで見てもらうと、デリバリーやテイクアウトに対応している時間帯や電話番号などお店の情報も整理して掲載しています。盛岡の方々に参考にしてもらえたら嬉しいです。
――ストーリーの更新にあたって千葉さんが気を付けていることは何でしょう。
千葉 色味はけっこう気を付けています。Instagramって統一感がすごく大事だと思っているので、全体の雰囲気を壊さないように意識しています。文字の雰囲気も、もりでりの雰囲気に合った色にするようにしています。ロゴのキャラクターのかわいいイメージに合った文字の色、たとえばピンクやオレンジ、緑などの明るい色を使っています。ほかにはストーリーをいくつかに分けて投稿することで、見る人に関心を持ってもらえるように意識しています。
丹野 僕たちのほか、リトルもりおかでお世話になっているデザイナーの松村さんにも画像チェックなどで協力してもらっていて、アドバイスもいただいています。
――最後に、いまのところの手応えと今後の抱負をお願いします。
丹野 フォロワーさんは順調に増えていてありがたいです。盛岡の飲食店の方々に「お金もかからないので情報載せませんか?」と呼びかけると、「東京からそんな風に言ってもらえるだけでありがたい」って言葉をもらったりします。そういう声をもらうと、コロナ禍で困っている盛岡の方々に多少は貢献できているのかなと思ったりします。
千葉 フォロワーさんが順調に増えているので、いろんな人に広まりつつあるのかなと思っています。いまのところ年代が上のフォロワーさんが多いようなので、若者のフォロワーを増やしていければいいかなと思います。
※※※※※※※※※※※※
この記事は当初、もりでりの誕生秘話をお伝えする内容としてここで終わるつもりでいました。しかし2021年8月中旬、新型コロナウイルスの感染拡大が全国的にいよいよ厳しさを増し、岩手でも県独自の緊急事態宣言が発令される事態に。取材からたった半月ほどで、盛岡を取り巻く状況は大きく変わってしまいました。
この状況の変化を受け、改めて丹野さんに追加取材を打診し、引き続きオンラインでお話をうかがいました。
※※※※※※※※※※※※
盛岡のみなさま、「もりでり」をご活用ください! ご相談もお気軽に!
――丹野さん。前回お話を聞かせてもらったときから、状況は激変してしまいました。(追加取材は2021年8月19日夜)
丹野 そうだねー……。こうならないといいな、とは思っていたんだけど。
――岩手でも県独自の緊急事態宣言が発令され、飲食店はさらに大変な状況になりそうです。テイクアウトやデリバリーへのシフトが予想されます。ある意味では、もりでりがその役目を発揮するタイミングと言えるかもしれません。
丹野 はい。もりでりが役に立てるかもしれないですね。コロナ禍で飲食はもちろん、イベントなどのありようも変わるなかで、情報発信がうまくいっていない場合には僕たちが貢献できるといいなと思っています。
――ちなみに、もりでりに掲載できる飲食店の対象エリアは、盛岡市内だけでしょうか?
丹野 紫波町や矢巾町、滝沢市など盛岡広域のエリアのお店であれば、ぜひもりでりに掲載させてもらいたいです。盛岡から車で30分から1時間くらいの距離であれば、経済圏としては盛岡市と一緒だと思うので。岩手在住の方であれば、それくらいの距離は日常的な移動の範囲のはず。なので、盛岡市周辺の自治体の飲食店さんにも、ぜひお気軽にお声がけいただきたいです。
――丹野さんとしては、こういう状況にならなければよかったけど、もしそうなってしまったときのためへの備えとして、もりでりを企画したんですよね?
丹野 そうだね。いつかこんな事態が来るんじゃないかと予測はしていました。盛岡の人たちには、もりでりをぜひ見てもらって、テイクアウトやデリバリー可能なお店の情報を入手してほしいです。
盛岡の飲食店さんについては、お店独自の情報発信がうまくいっていないと感じているお店のお手伝いをさせてもらえればいいなと。情報発信に限らず、もしコロナ禍で困っていることがあるなら、相談にも乗れると思っています。リトルもりおかにはいろんな人材がいるので、何かご協力できることがあるかもしれません。もりでりは掲載にあたってお金もかかりませんし、お気軽に相談していただければと思います。
――追加のお話ありがとうございました!盛岡の皆さま、もりでりをぜひご活用ください!
お店の掲載情報は大募集中ですので、情報提供をお願いします!
「もりでり」はこちらよりフォロー!
聞き手:シュン
合わせて読みたい!
大好きなお店を応援!盛岡市内のテイクアウト・デリバリー可能な飲食店情報を発信するInstagramアカウント「もりでり」スタート!