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インタビュー

【スポットライトモリオカン】盛岡での学生時代が今の自分の土台に 千葉伊織さん・和ルミネーション実行委員

盛岡を離れて活躍している方々にスポットライトを当て、盛岡との関わり方や盛岡愛をうかがい、さらに次のインタビュー対象者を紹介していただくリレー形式のインタビュー企画「スポットライトモリオカン」、第6回目をお送りします。
前回お話をうかがったのNHK千葉放送局キャスターの熊谷彩花さんのご紹介で、大手町「和ルミネーション」実行委員の千葉伊織さんにご登場いただきます。今回もオンラインでお話をうかがいました。


学生時代に過ごした盛岡から上京

ーー盛岡との関わりについて教えてください。

生まれは岩手県一関市で、高校までは地元で過ごしました。その後、岩手県立大学に進学したのを機に盛岡に4年間住むことになりました。盛岡さんさ踊りにも横笛で参加したことがありますよ。学生時代は、自転車で大学周辺のカフェに友人と行ってゆっくり過ごすことが好きでした。盛岡はそんなに起伏がないので、自転車でゆっくり回るのにちょうど良いと思います。

盛岡さんさ踊りに参加した千葉さん(左)


ーー県立大卒業後は関東に就職したのですね。

これまで県外に出たことはありませんでした。学生時代に鉄道会社のアルバイトをしていて、東北各地や関東に行く機会が多くあり他の地域の魅力にも気づいて、一度岩手を出て生活してみたいと思うようになりました。岩手県内外で就職活動をしましたが、ご縁があり、関東のイベント企画・運営の会社から内定をいただき、上京することになりました。


“自己投資”で社会人向け講座を受講

ーー関東での生活の中で、「丸の内朝大学」に参加することになったんですね。

就業時間が不規則だったこともあり、しっかりと自分の時間を確保したいと思うようになり転職を決意しました。その際に自己投資をしようと考え、見つけたのが「丸の内朝大学」です。

これは出勤前の朝7時から開催される社会人向けの学び講座で、月に2〜3回、計8回受講しました。年齢も職業もばらばらの社会人とグループをつくり課題に取り組むというものです。元々このような場に入っていくのはどちらかというと苦手なタイプだったのですが、だんだんと慣れていきました。様々なコースがあるのですが、「まちづくりプロデューサークラス」を選択しました。というのも、岩手県立大では総合政策学部で地域活性化や地方自治などについて勉強し、まちづくりに触れることもあり学んでいて面白かったなという印象があったからです。まちづくりのアイディアを出し、実際に形にしたのが大手町で開催している「和ルミネーション」というイベントです。


アイディアを形にできた「和ルミネーション」

ーー「和ルミネーション」!どういうものでしょうか。

丸の内朝大学の会場が大手町だったこともあり、大手町に着目してイベントを考えることにしました。大手町には昔、江戸の大名屋敷があり江戸の中心地だったことから「江戸=和」を連想。都会のど真ん中であえて「和」の要素を入れてみたいと考え、和傘によるイルミネーションというアイディアを出しました。クラスでプレゼンをした際も高い評価をいただき、実際に開催に向けて準備をスタートしました。2018年夏に第1回目を開催、これまでに3回開催しました。

丸の内朝大学 プレゼン発表会の様子


ーー日本の伝統工芸の和傘を使うことにした理由はなんですか。元々日本の工芸に興味があったのでしょうか。

それまであまり日本の工芸品に接する機会はなかったのですが、イベントをやることになり自分たちで和傘職人さんとコミュニケーションを取りました。和傘に使用する和紙は職人さんが自分で漉いたり色を染めたりしていて、世の中に同じものが二つとないことを知り、伝統工芸の世界はすごく繊細であることがわかりました。また和傘は雨傘としても使える万能なものなんです。

大手町中通りを照らす和傘行燈


ーー大手町のまちづくりに関わったなんてすごいです!

普段仕事をしていると、会社と家の往復ばかりです。特に大手町は多くの企業が立ち並ぶオフィス街ですが、実は江戸情緒が溢れた場所だと気づけました。皇居も近く意外と自然も多いです。オフィス街もゆっくり歩いてみると気づく魅力がありますね。オフィス街のど真ん中でやったことに意味があったように思います。実際に仕事帰りの方々が足を止めて写真を撮ったり、綺麗ですねと声をかけてもらったりしました。仕事で疲れた心を暖かくほぐしてあげられたかなと思います。イベントでは、和傘を作成するなかで生じる和紙の端切れを利用した和傘行灯や、傘に穴をあけることで光と影がきれいに演出できる舞踏傘を用いています。様々な和傘を近くで見てもらうことで、和傘という日本の伝統工芸を知ってもらうことができ、伝統文化の継承にも貢献できたことにやりがいを感じられました。

和傘行燈と和傘ウォール


盛岡はゆっくり歩いてほしい場所

ーーまちづくりに関心がある千葉さんですが、岩手や盛岡の街についてはどう感じますか。

東京のような大きい商業施設はありませんが、実際は買い物する場所はそんなに多くなくてもいいですよね。住んでいると物足りないなと思うかもしれないけれど、離れたから気づく魅力があると思います。岩手で食べる海産物は東京で食べるものと比較にならないくらい美味しいですし!南部鉄器など生活を豊かにしてくれる工芸品も岩手には意外とあると感じています。

盛岡の食べ物というと盛岡冷麺・じゃじゃ麺・わんこそばの3大麺は全国的にも認知されていますが、盛岡のまちについてのイメージはあまりないですよね。でも桜山神社や河川敷など落ち着いていて素朴で良いところがたくさんあります。ぜひ街を歩いてほしいですね!


ーー千葉さんにとって盛岡とは。

まちづくりに興味があり「和ルミネーション」開催に至ったのも、そもそも県立大学で受けたまちづくりに関する授業がきっかけだと言えます。なので盛岡で過ごした4年間が今の自分の土台になっていると思います。あの時間が今の自分につながる貴重な時間だったなと振り返っています。


ーー今後挑戦してみたいことや展望などあれば教えてください。

和ルミネーションを東京だけではなく、他の地域でも開催したいですね!いつかは盛岡でも実現できればと思っています。例えば盛岡駅前の広場は十分なスペースがあり、新幹線の乗客にも見てもらえるのでいいと思います!イベントを通して盛岡の魅力に気づいてもらえるきっかけになれれば嬉しいです。岩手の伝統工芸品とコラボなんかしても面白いかなと思います。


千葉伊織さん

岩手県一関市出身。岩手県立大学総合政策学部卒業後、就職で上京。現在、私生活では有志で構成されている「和ルミネーション実行員会」として東京・大手町で和傘を使ったイルミネーションイベント「和ルミネーション」を企画から運営まで行いまちの活性化や伝統工芸品の普及につとめている。

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